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逃げ場なし“ホラー観覧車”も登場、「恐怖も“シェア”する時代に」専門家に聞く

 東京お台場・パレットタウン大観覧車と、マリノアシティ福岡観覧車“ スカイホイール”が、7月14日から9月2日までの期間、夜間のみ台数限定でホラー仕様に変わる。USJの『ホラーナイト』や水族館、商店街など場所を選ばず“お化け屋敷”化の事例もあり、レジャースポットが“お化け屋敷”に変身する傾向にある。なぜ観覧車をホラー化するのかプロデューサーに話を聞くと、ホラーコンテンツも時代と共に進化していることがわかった。

なぜ観覧車がお化け屋敷に? 「観覧車はホラーにうってつけの題材」

  • 株式会社 闇の頓花聖太郎代表

    株式会社 闇の頓花聖太郎代表

 お台場&福岡で展開中のホラー観覧車“血バサミ女の観覧車”は、ヘッドフォン着用による立体音響、窓の外から霊が襲ってくるプロジェクション、振動するシート…で、乗ったら最後、1周するまで逃げられない最凶仕様。今まで、観覧車を使った恐怖モノとしては、乗りながら怪談を聴く、といったモノはあったが、今回のようにマッピングや立体音響、椅子が揺れる…という恐怖を体感するイベントはおそらく世界初とのこと。従来の観覧車のイメージを覆すプロデュースしたのは、ホラー×テクノロジーで新しい恐怖体験を作り出す株式会社 闇。設立時に公開したHPが「怖すぎる企業サイト」として1日で10万PVを記録し、話題になった会社だ。同社の代表でありプロデューサーの頓花聖太郎氏に、観覧車をホラー化した背景、そして今後の日本におけるホラームーブメントについて話を聞いた。

「観覧車は元々高くて揺れる怖さがある上に、密室で、降りてくるまで逃げられない…と、怖がらせるのに向いているシチュエーションが詰まっています。私たちは、すごく怖いモノが作りたいという思いがありますから、運営のサノヤス・ライド社様から話をいただいた際、観覧車はうってつけの題材だと思いました。今回のストーリーは、過去に観覧車で恋愛トラブルの殺人事件があったという前提で、観覧車に乗ってきたお客さんは、女性の霊から“2人の仲を裂こうと邪魔しに来たヤツ”ってことにされてしまい、襲われます」

 ヘッドフォンから流れるのはリアルなハサミの音。ヘッドフォンをする事で、更なる密室感、閉塞感を作り、恐怖を倍増させる効果があるという。「今回は音にすごくこだわりました。3D録音ができる特殊なマイクを使って収録した立体音響は、耳元でハサミの音がシャキーン、シャキーン!と、かなりリアルに耳を狙われてる気分が味わえますよ」と頓花氏。

 想像しただけで恐ろしい演出だが、エンターテイメントの領域は守っている、とのこと。途中でとあるミッションが用意されていて、行動によりエンディングも変わるという観覧車のゴンドラの中で“参加型イベント”の要素もあるというから驚きだ。

恐怖は個人で楽しむものから「みんなで楽しむ」時代に

 今回の大観覧車のお化け屋敷化。レジャー×ホラーという相反するものの掛け合わせだが、近年のホラーコンテンツのトレンドについて話を聞くと、頓花氏は「ホラーイベントはアップデートがかかってない時期がしばらく続いていた」と明かす。90年代に伝説的なお化け屋敷プロデューサーの五味弘文氏がミッション型、ストーリー型といった新機軸を打ち出して成功して以来、それがある意味完成系となり、大きな変化が起きなくなっていた。だが、昨今はネット・SNSの発達がホラーの楽しみ方を変えつつある、と、頓花氏は考える。

「“Jホラー”映画は2000年代に盛り上がり、その後家庭用ゲーム機のホラーゲームのブームがありましたが今は一段落しています。ホラーの楽しみ方といえば、DVDを借りてきて部屋で1人で見るというのが一般的だったのではないでしょうか。今ではスマホで友達と見る、実況する、大勢で怖いモノをワイワイ楽しむ、というように“恐怖をみんなで共体験する”傾向にあり、SNSのように“結びつける”機能で今までとは違った広がり方をしています。ニコニコ(動画)さんの『ホラー百物語』みたいに、みんなでコメントしながら見る、とかはこの時代ならではの楽しみ方だと思いますし、『バイオハザー7レジデント イービル』をみんなで実況しながらクリアしていくのもそうですよね。YouTuberさんたちがこぞってホラーゲームを実況するのも同じ流れです。私たちは、その“ホラーの共体験”をもっとアップデートさせたいと思ってるんです」

ホラーのエンタメ化進む これから盛り上がりが期待できる

 頓花氏によると、今後ホラーのエンタメ化がさらに盛り上がる兆しもあるようだ。

「日本の映画や映像のムーブメントは、アメリカで流行った数年後に来る流れがあります。今、アメリカでは『ウォーキング・デッド』や『アメリカン・ホラー・ストーリー』といった、スタイリッシュなホラードラマが高視聴率を叩き出しています。個人的には、その流れが日本にも来てほしいと思っています。もうひとつ、アメリカで爆発的に流行っているのが“チャットフィクション”というLINEの会話を見ているような感覚で楽しめる、短い文で構成された物語です。弊社でも『青鬼』のチャットホラー版のシナリオ・イラスト監修をさせてもらいました。このスタイルは日本でもDMM TELLERといったアプリで広がり始めています。話の作りこみやボリュームは小説に比べたらライトですし、登場人物をあまり増やせない、といったシチュエーション的な難しさはあるんですが、若い人が楽しめる新しいホラーの形になっています。最近の若い人は長い文章が読むのが苦手になってきているようです(苦笑)。これも時代の流れですよね」(頓花氏)

ホラーがテクノロジーで進化、新たなお化け屋敷の“新フォーマット”が生まれる転換期

 “お化け屋敷”にとっても、今は転換期といえるかもしれない。実際、前述の五味氏がサンシャイン水族館をお化け屋敷化した例のほかにも、USJでは園内を大量のゾンビが歩き回る『ホラーナイト』を開催、大阪・なんばウォークでは商店街がお化け屋敷となった『闇商店街』など、ホラーエンタメは場所を選ばず“リアル”ステージとの融合でで進化している。今回の観覧車も、新たなホラーフォーマットの為の1つの実験でもある。

「お化け屋敷は、人を引き付ける面白いコンテンツではありますが、すごくお金がかかるし、季節モノになりすぎているという課題があります。お化け屋敷は必ずしも箱モノでなくても良いワケで、今回のように観覧車にプロジェクターと立体音響と振動スピーカーを持ちこむ事でホラーコンテンツになりえます。ライブハウスもいつか使ってみたいですね。謎解きや脱出ゲームのように一室で何人かが一時間盛り上がれるっていう仕組みが生まれたように、空間を生かして、テクノロジーを掛け合わせることでお化け屋敷の“新しいフォーマット”を作っていきたいです。それを、日本中やアジア中心に、カラオケレベルで世界にまで広げていきたい想いはあります」

 最後に頓花氏に“最終的な野望”を聞いてみた。「最終的には、アカデミー賞にVR部門ができるまで頑張って、ホラーVRで賞を獲るところまで行きたいです。今、“金縛りVR”を作っています。せっかくのVRなのに寝ているってあんまり無いじゃないですか。動かないのでVR酔いの心配も無いですし、逆に動けない緊張感の中、怖さがギリギリまで迫ってきます (笑)。そういった新しいホラー体験を作っていきますので、ぜひ期待してください」

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