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芸能人の差し入れ事情、SNS拡散で図られる人間性 “合戦状態”でインフレ化も?

  • SNSでの番組PRが普及し、よく見かけるようになった“差し入れ報告”

    SNSでの番組PRが普及し、よく見かけるようになった“差し入れ報告”

 テレビドラマやバラエティ番組、映画や舞台などで古くからある習慣「差し入れ」。現場の士気を高めるなどの理由で昔からある習慣だが、昨今はやや意味合いに変化が生じているようだ。公式SNSや出演タレントのブログなどで視聴者へのアピールに使用され、ニュース化されることも増えた。これにより、タレントの太っ腹ぶりやセンスのよし悪しも可視化。宣伝効果にも繋がっている一方で、差し入れしたタレントの“人間性”まで語られるアイテムともなっており、昨今の“差し入れ文化”が可視化された現状では、過度な気遣いも生んでいる。

バブル期には300人のスタッフに1万円ずつプレゼント!? 暗黙のルールも存在

 昨今はニュースになることで表面化しているが、芸能人の“差し入れ文化”は今に始まったことではない。銀幕スターが大活躍していた時代はもちろん、バブル時代は特に顕著で、テレビ局側も大盤振る舞い。局としても現場を盛り上げるためのひとつとして、豪華な差し入れは定番であり、この時代を懐かしむ業界人も多い。

 これらの例の一部を見ていこう。例えば故・石原裕次郎さんは、スタッフに疲れが見えると、旅館の大広間に全員を集め、2〜300人に1万円ずつプレゼント。また冬には石焼き芋移動販売車を買って差し入れしたこともある。故・松方弘樹さんは時代劇の撮影中、京都のいきつけのステーキハウスで1万円以上するカツサンドをスタッフ全員に配布。小室哲哉は絶世期の90年代、TRFのメンバーに1000万円ずつそれぞれクリスマスプレゼントしたという。

 「当時から差し入れの類は、その人の“矜持”や“生き様”を見せる機会でもあった」と話すのは、メディア研究家の衣輪晋一氏。「またテレビ局側からの振る舞いについては2015年に放送された『ナカイの窓』(日本テレビ系)で、MC中居正広さんが、当時は毎日が叙々苑弁当のような感じであり、ドラマの打ち上げはスタッフ全員一泊で温泉旅行だったと告白し若い出演者を唖然とさせていました。ちなみにこの差し入れ文化には、実は“暗黙のルール”があります。まず、どんなに豪華な差し入れが定番でも、共演者が座長の顔に泥を塗ることはご法度。座長よりも高価なものを用意してはダメで、さらには差し入れする順番も重要。このため今も芸能事務所側は差し入れ時に迷った場合、テレビ局側に、いつ、何を差し入れするかを相談し調整してもらっています」と解説する。

差し入れの内容で、視聴者にも“人間性の付加価値”をアピールできる時代に

 だが、テレビ業界ではそんなバブルも2000年頃まで名残があったが、徐々に不況の煽りが。当然、今まで局主導で行われていた“モチベーションアップ”も減少。そこで必然的に一役買って出ることになったのが、座長をはじめとするメインキャストたちだ。

 「現場の差し入れにはいくつかの定番商品があります。『天のや』(東京都港区)の玉子サンドや、『呼きつね』(東京都港区)のいなり寿司。また“縁起物”として油揚げを裏返しにした明治8年創業の『おつな寿司』(東京都港区)のいなり寿司も。これは“裏(番組)を食う”という言葉遊びに由来します。困ったときの『まい泉』(東京都港区)ヒレかつサンドも定番。最近では『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系)の小栗旬さんのように、ラーメン店を店ごと差し入れする光景もよく目にします」(衣輪氏)

 また、映画『たたら侍』でプロデューサーのHIROが、人里離れた山奥でのロケ地にプレハブのコンビニを丸々一軒建設。中居正広が『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)終了時に、スタッフ全員に名前入りのスニーカーをプレゼントしたのもニュースに。米倉涼子は『ドクターX』(テレビ朝日系)打ち上げで50万円のビンゴ大会賞品を提供。篠原涼子は『ラストシンデレラ』(フジテレビ系)でスタッフ約100人に3200円の「ふかひれ姿煮込み弁当」を。坂上忍は『バイキング』(フジテレビ系)スタッフに合計175万円以上のお年玉抽選会を開催し、スタッフを労っている。

 「こうした動きのなか、菜々緒さんは“今の時代を生きる凛とした美しさを持ち、強くクールなイメージとともに、ドラマや映画の現場ではこだわりの差し入れや気遣いで、現場の士気を高める気配りやしなやかさを合わせ持っている女性”との理由で、『ベスト手土産ニスト2018』に選出されました。竹内結子さんは2011年に、自身の経験を生かして差し入れのアイデアを記した著書『たけうちマルシェ 心に届くおいしいさしいれ102』を発売。連載中から“こんな情報が欲しかった”と評判も上々だったそう。“気遣い上手”という、人格における“付加価値”をプラスアルファする流れも起こっています」(衣輪氏)

SNSでの番宣加速で“合戦状態”も顕著に、集中すべきことにズレも?

 差し入れには番組にとっても良い面が多い。公式SNSなどでいいネタとなるほか、太っ腹な差し入れや番組愛が伝わる差し入れには称賛の声が集まりやすく、現場の雰囲気の良さも伝えることができる。また、“差し入れをいただいた報告”をしても、その気遣いがタレントの“好感度アップ”に役立つだろう。そして、ファンや購入した店舗にとっても嬉しい情報であり、購入欲を掻き立てることから少なからず経済効果も。

 「ですがSNSにアップする際、座長ともなれば、その差異化のために単に品物ではなく、例えば“ミニカフェ”や“ミニ駄菓子屋”を作るなど、フォトジェニックなもので話題作りを狙うアイデアも必要になっています。まさにインフレ化しているとも言えるでしょう。さらに“座長としての力量”や、“懐事情”なども明るみに出るので、さらに気遣いは増えます。また、逆に若くして座長となった場合は太っ腹すぎても叩かれかねず、今まで以上に神経を使うことにも。ほかにも、CMに多数出演しているタレントは“スポンサー商品との競合はNG”などの注意点もあります。これらの原因により、本当なら演技やMC、番組の面白さで評価されたいところ、本来の仕事以外での負荷が増加している可能性も。場合によっては心無いユーザーから叩かれることもなくはないので、“差し入れ文化可視化”される前ではなかった気苦労が増えているのではないでしょうか」(同氏)

 番組の宣伝は本来、宣伝部や広報部の仕事。かたや演者の仕事は番組で視聴者を楽しませることだ。人気商売でもあるし、宣伝やアピールはもちろん大事だが、予算削減で人員が不足している昨今、過度な差し入れ合戦は、出演者の演技やMCへの集中の障害となりかねない。SNSでの宣伝がスタンダードになった今、出演者の気苦労が増えずに「面白い」という口コミで番組が盛り上がるよう、差し入れでの番組PRにも配慮するべきなのかもしれない。

(文/西島享)

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